あなたのココロが元気になる言葉を伝えたい。 わたしたちは真摯にアドバイスしコーチングできるよう心掛けています。
この幼稚園は実在の園がモデルです。その中で主人公のジョアン君は「自由」を学んでいきます。
大人たちの都合のよいルールで子供を「良い子」にして、その都合の良い子は「大人に従う振り」をして。特定の大人の前だけで演じている子を「礼儀正しい子、しっかりした子」という眼で見てしまう大人。
この幼稚園と出会ったことで、もう一度、自分の過程を振り返ることも必要ではと改めて感じました。大人として・・・。 子供のころのこと・・・・・。
森の中のおじいさん
ジョアン君はことし5才になります
生まれつきのアレルギー体質なので ちかくのおともだちとなかなか一緒にあそべません
ある日 おかあさんは ジョアン君をつれて 大きな森のある公園にきました
森の中には 遊び がいっぱいあります
ハンモックやブランコ ターザンロープもあります
「オー」っと 元気な声が森の中からしています
男の子が木の枝を振り回し探検ごっこをしているところでした
おおきな木の陰からは何か出てきそうで ちょっとどきどきしながらとびまわっています
すこし行くと森のとなりに牧場がありました
かわいいやぎさんたちがいます
おともだちが 葉っぱをひろってやぎさんにあげてます
やぎさんは それはおいしそうに パクリ ムシャムシャ また パクリ
ジョアン君はおめめをまんまるにして最初はビックリしていましたがすぐにやぎさんとおともだちになりました
ハイ どうぞ  ジョアン君のあげた葉っぱをおいしそうに パクリ ムシャムシャ パクリ
やぎさんはときどき森の中をお散歩するそうです
また 会えるといいね
おかあさんはそういって ジョアン君の手をひいて歩き出しました
もうちょっと 遊んでいたかったな ジョアン君は心の中でそう思いました
すると 今度は畑につきました  ちいさな芽が土の上にピョコっと顔を出しています
となりにあるおおきな木には青い実がいっぱいついています
おおきいねぇ ふたりで木を見上げていると
「やぁ こんにちは ようこそ」 と 知らないおじいさんがニコニコしながら声をかけました
おかあさんは よろしくおねがいします と おじいさんとお話をしています
すぐにおかあさんはジョアン君にいいました
あのね ここは これからジョアン君が通う幼稚園だよ
このおじさんは ここの園長先生なの おかあさんといっしょにごあいさつしようね
ところがジョアン君はおかあさんのうしろにかくれてしまいました
「おやっ かくれんぼが得意なんだね」そう言って園長先生はジョアン君の頭をやさしくなでてくれました
ジョアン君はなんだか うれしくなってきました
そして 「こんにちは」 園長先生にちゃんとごあいさつできました

この園は自然の豊かさを子どもたちに楽しめるように大きな森や牧場、畑をみんなで作っているのだそうです
季節のおいしいものや楽しい遊びをたくさん経験してのびのびとした性格の子どもに成長できるよう大人が手伝って上げられることを一生懸命に考えてつくられたそうです
子どもはけっして無理強いしてはいけない そして みんなが持っているその子の才能を大切に育てていきましょう
園長先生のお話をきいていると 「おっきなふところせんせい」 に子どもをお願いしようという安心感がわいてきました
初めて保育園に入れたとき そこの園の先生たちはとても親切でした
しかし 子どもの自由を大人の都合勝手に合わせる指導を知り 言う事をきかないのはおかあさんたちが家で甘やかしているからですと言われたとき 子どもの笑顔が胸にうかび このままここにいたらきっと あの笑顔が消えてしまうとこころがいたくなりました
この子が自然な笑顔で過ごせる環境  12箇所の園を見学して歩き ここを知ったときはいままで見てきた子どもの保育の場所とはまったくちがった環境に わたし自身が子どもをつれてここにきたいと感じました
帰り道 はずかしがりやのジョアン君が いつまでも 園長先生にバイバーイと 手を振る姿を見てジョアン君のいままでにない知らない人への素直な笑顔におどろかされました 子どもが一番正直です
これから この おっきなふところせんせい とジョアン君の幼稚園のおはなしを お伝えしていきます
ときどきアレルギーの影響で入退院をしていますが元気に成長しているわんぱく坊主は今日もうれしそうに笑っています
悪い子って どんな子?
今日はジョアン君の入園式です
最初に園長先生からのおねがいがありました
「お父さんお母さん!こども達に 『悪いことしたら園長にしかってもらうからね』 とは絶対に言わないで下さいネ
私はこども達と仲良くしたいんです   邪魔をしないで下さいね お願いします」
むかし 小さいときに 『悪いことしたらおまわりさんがくるからね』 と周りの大人たちから言い聞かされて
おまわりさんはとってもコワイ人だと 子供ながらに おまわりさんを見ると緊張していたことをふと思い出しました
園ではコワイ人はいちゃいけないんですね
「あたりまえのことを まちがってしつけるのは 大人の身勝手をこどもにおしつけるようなものなんですよ」
園長先生にわたしたち大人が大切なことを教えてもらいました   ちょっと こころがドキっとしました

おはよう! おはよう!  おぉー おはよー
園長先生が毎朝 門の前でみんなを待っています
先生はこどもの目線にあうようにしゃがんで、おはよう!おはよう!とひとりひとりに手を差し出して声をかけます
その手をタッチする子もいます   みんなニコニコ してあいさつをします
ダァーっ!!  園長先生のふところに元気にとびこんでいったのはジョアン君です
園長先生おはよう!
やぁ おはよう  園長先生のあったかな手と大きな胸で抱きしめてもらうと ヘヘェーとお目目がなくなっちゃうくらいの笑顔でジョアン君は元気に園の中に走っていきました

幼稚園はいつも 元気な声が聞こえてきます   ワァー ワァー キャー キャー  キャッキャッキャァー
今日はみんなでお絵かきをすることになりました
すると おともだちがひとり 泥遊びをしにお外に出て行きました
すると もうひとり またひとり  3人のおともだちが お外で泥遊びをはじめました
お水をまいて スーっと土にしみこんでいくと ちっちゃなおててでおだんごをペタペタ作り始めました
『せんせーい お外で遊んでるヨォ』 ジョアン君が先生に言いました
その声にふりむいたのはヨーコ先生でした  ジョアン君も 泥遊びする?
ジョアン君はびっくりしました  だって お絵かきのお時間に他のことをするのはいけないことです
いけないことをすると先生にしかられるから・・・
ジョアン君はそう思っていたので きゅうに先生に言われて
だって お絵かきはぁ?  と 聞きました
先生はニコニコしながらジョアン君の頭をなでてやさしく話しかけました お絵かきのお時間だけど 他のことも楽しいよ
ジョアン君は不思議そうに ふぅーん とお返事をして 泥遊びをしているおともだちをしばらくのあいだながめていましたが銀色のクレパスを持ってウルトラマンを描き始めました

この園では子どもは興味のあることでそれぞれが自由に遊びます
みんなの希望で絵を描くことになっても、したくないこどもに無理矢理させません
逆に絵を描きたいこどもは何枚も描くことができます
決められたことを覚えさせることはしないので、おゆうぎ会もありません
運動会も運動を自由にすることが目的なので運動会用の練習はありません
おことばを覚えることもありません    水まきや泥遊びも自由です
汚れたときのために家からの着替えはいつも置いておきますが、何度着替えても良いように園にも用意があります
服装も自由で下着で走り回ってる子もいます   女の子も元気に下着で走り回っています
園の子はみんな裸足です  屋外を裸足で走る子もいます  ここでは冬以外は上履きをはきません
以前の幼稚園は制服、制靴、白い靴下を着用と決められた集団教育、伝統を重んじる幼稚園だったので
まるで正反対の幼稚園に ジョアン君はとまどいながらも 毎日いろいろなお話をもって帰ってきます
ママ 今日はね〜    さて 今日はどんな探検をしてきたのかな?
子どもは先生!!
ある晴れた夏の日 ジョアン君はママと一緒に森に行きました 森の中はとっても涼しいです
ハンモックの脇の大きな樹は みきの表面が少しけずれてくりぬかれたようになっていて くりぬきの中ではちょうちょ二匹とカブトムシ一匹が蜜を吸うのに夢中です
虫たちはジョアン君がのぞきこんでいるのに全然気づきません
中にはとろりとした蜜がたっぷり ちょうちょさんたちはおいしそうにお口いっぱいにたべてます

「ほぉー」 小さな声が聞こえたのでふりむくと ジョアン君よりちょっと小さな女の子を連れたおじいさんがジョアン君のそばに立っていました
「カブトムシだね」 そういっておじいさんは女の子をやさしく抱き上げてジョアン君にこの子にも見せてくれるかいと言いました
女の子はおじいさんの孫でした ミーンミーン セミの声がまったく気にならないくらい森に時間が流れていきます
暑い夏の光景は なつかしい思い出の中のように感じるときがあります 心地良い時間に瞬きをするのも忘れるくらいに 4人はしばらく一緒に虫たちを眺めていました
自然の恵みはジョアン君たちを不思議な世界に誘ってくれました

この自由な園にも夏期保育があります といっても午前中のみ二日間だけです
一日目はプール 二日目は8月生まれのお誕生会です
夏期保育が終わると次の日はお休みでその次の日が始業式です そしてその一週間後に遠足に行きます
なんだかたくさん催し会があります  それにはちゃーんと理由がありました。
毎日 「ちょっとずつ」がたくさんあると 子どもはもっともっと遊びたくなります
だから園長先生が遠足でなかまと遊びたいパワーを全開するようにわざと毎日の催しを短くしてるんです

「きゅうりがバナナになったよ!!」ジョアン君のおともだちが大きな声で言いました
バナナぁ? みんなが畑に集まっています ジョアン君も仲間にはいりました 「おぉ〜っ」
そこには収穫後に残ったきゅうりが腐って黄色くぶら下がっていました  本当に見た目は本物のバナナにそっくりです
先生たちもビックリ!!汚い物などと無視せずに こどもたちの発見のなかから生まれる感動に 「またこどもに教えられました 子どもは先生ね!!」と受け止めてもらえることで、こどもたちはのびのびと感性を養うことができているようです
先生たちもこどもたちといっしょに大騒ぎをして楽しさを共有するのがこの園の自然な教育なんです

さぁ 今日はみんなが楽しみにしていた遠足の日  ジョアン君たち年中さんはおとうさんおかあさんは付き添わずに先生全員の付き添いで電車にのっておでかけです
京浜急行と(乗り換えて)シーサイドラインに乗って海の公園に行きます
この日のために園では京浜急行とシーサイドラインと同じ模様の電車を段ボールで作ってみんなで電車ごっこです
子どもたちの提案で駅もあります  乗り換えは先生と一緒にたのしく覚えます
いざ本番  毎日遊んでいた電車と同じ形の電車がやってきました みんな自信満々です  ヨーコ先生がジョアン君の手をひいてイチバン最初に電車にのりました つづいて 二人ずつ手をつないでみんなお行儀よく全員乗車完了  次の駅の乗り換えも上手にできました

到着するとみんなパンツ一丁になりました  先生が合図をして さぁ海です  園長先生たちの背中には亀さんのように何人もが乗っています  ワァー、キャー 太陽さんも負けちゃうくらいにみんな元気に遊びはじめました
砂の上にちいさな足でギュッギュっと足跡をつけている子もいます  先生とおいかけっこをしている子もいます
海の中で水をかけ合ったり 砂でお団子をつくったりしていたジョアン君たちのたのしい遠足ももうおわりです
帰る前にあさりと海草をみんなでとりました バケツいっぱいの貝さんたちはおとうさんおかあさんにお土産です
おかあさん ボクこんなにいっぱい取ったんだヨォ ジョアン君が小さな両手をひろげて教えてくれます
おかあさんは「ジョアン君のおみやげ早くおとうさんに食べさせてあげたいねぇ」とほほえんで夕飯のお味噌汁を作ってくれました いいにおいがしています
お仕事から帰ってきたお父さんはおいしそうにお味噌汁をたべました ジョアン君はうれしくってニコニコしています

「帰りのお迎えの時、お迎えにきていないお母さんがいないか確認御願いします もし来てない人がいたらすぐに担任に教えてくださいね 担任がその子のお母さんが来るまで淋しくならないようにちゃんと手をつないで待っていますからね 今日本当に楽しかった思いが自分だけお母さんが来ていないことでつらい思いに変わってしまいますからね すみませんがくれぐれも御願いします」
園長先生が出発前におとうさんおかあさんに言いました  さいわいお迎えに遅れたお母さんはいませんでした
折角の楽しい遠足、確かに子どもの素直な気持ちが遠足の最後に消えてしまってはかわいそうです
園の行事は将来子どもにとって楽しい思い出になるからこそ大人の接し方が大切なことを親に教えてくれます
そして 元気なわんぱく君たちはつぎは運動会をむかえます
栗ひろいと おいしいケーキ
今日は運動会です  お父さんやお母さん おじいちゃん おばあちゃん みんな来ています
ジョアン君たちは小さなお魚になりました  元気に泳ぎ回って広い園の中を動き回っています
すると ジョアン君たちのおさかながみんな集まってきました   みるみるみんな集まって大きな一匹の魚になりました  遠足のときに覚えた電車の乗り換え競争もしました
運動会のまえ、先生たちがジョアンくんたちとおはなしをして いろいろなアイデアでつくった運動会は大成功です

おべんとうの時間になりました
シートをひいておかあさんたちはおべんとうをひろげています  おひさまもニコニコみんなを見ています
キュウリのお耳のついたうさぎさんハンバーグを食べながら見上げると そこにはキウイがたくさんの実をつけています  すると となりでおべんとうをたべていたおともだちのしんちゃんが ごちそうさまをしてジョアン君のところにきました
「ねぇ やぎさん 見にいこう」    ジョアン君はうれしそうに ウン とおおきくうなずいて ごちそうさまをしました
森の中はおひさまがキラキラしていて とってもきれいです   ふたりは やぎさーん と声をだしながらかけていきました
しばらくして大根畑の前までもどってくると ふたりはおとうさんたちを教室につれていきました
床は板張りでとってもきもちいいです   大きく手足を伸ばして グァ〜と寝ているお父さんもいます
おーい かけっこするぞぉ  ジョアン君のおとうさんがそういって 長ーい廊下を走っています
ドス ドス ドス・・・ おとうさんはとてもからだが大きいので怪獣が走っているみたいに大きな音と地響きがします
ドス ジョアン君がとびはねます  ドス しんちゃんがとびはねます  ドスドスドス・・・ 廊下は大きなたいこと小さなたいこの演奏会のようににぎやかです

午後からは参加自由の競技です
お父さん、おかあさんにおんぶしてもらいながら あめを取る競技は大人気
子どもたちはおんぶしてもらって にこにこ笑顔です   親子でやぎさんにえさをあげる競技もあります
お父さんたちの綱引きはスゴイです  みんな真っ赤な顔をしながら一生懸命です
ジョアン君はかっこいいお父さんにお目目をまんまるくしながら がんばれぇーと大きな声でいっぱい応援しました
閉会式は親子全員で 体操と しあわせなら手をたたこう!をしました
しあわせなら○○しよう〜♪・・・  〜♪〜しあわせならむぎゅーしよう!!   おとうさんやおかあさんにむぎゅーと抱きしめてもらいみんな嬉しそうに笑っています  園長先生の「おわぁーりぃ〜」の声でみんなワーイと声をあげながら園長先生に抱きつきました
ジョアン君は 大好きは園長先生に抱っこされて エヘヘェ〜 と嬉しそうです

運動会が終わり みんなで森へ探検ごっこに行くと とんがり頭の栗がおちていました
あぁ〜せんせーい 栗だぁ  イガイガのお洋服を着たままの栗もあります  こうやってとるんだよ  先生が取り方を教えてくれるとみんなケガをしないように真剣に栗をひろいました
園にかえってみんなでとった栗を園長先生に見せました   せんせーい  ホラ こんなにいっぱいとったよ!!
「わぁ いっぱいあるねぇ 今日はこれでケーキをつくろうね」
おやつの時間  待ちに待った栗のケーキです  ふわふわのクリームの上にきいろい栗がたくさんのってます
いただきまぁーす  おくちを大きくあけて パクリ またパクリ おくちのまわりとおててはクリームでいっぱい  あぁおいしかった

森の木さんたちが 葉っぱを落とす季節になりました  探検ごっこは ちょっとお鼻が赤くなります
みんなぁ これから 柿をとりに行きますよぉ  ヨーコ先生がジョアン君たちを呼びました  みんなで森の中に入っていくと大きな柿の木が枝にたくさん実をつけています
せんせーい  これがいい   しんちゃんは見上げたイチバン大きな柿の実を指差して いいました
わたしはコレぇ   ボクはこっちぃ   みんな自分の柿を選んで先生にとってとってとお願いしています
よーし ヨーコ先生はがんばって台の上にのると もってきたハサミでぱちん  こっちの実もぱちん
エプロンのポケットがいっぱいです   せんせーい 落っこっちゃうよぉ
ヨーコ先生は自分を心配してくれてるのか 柿を心配しているのか ちょっとだけ気になりました
みんな先生にとってもらった柿をおいしそうに食べています

お部屋にかえってさっき食べた柿を思い出しながら貼り絵をしました
大きな木を描いたところに 葉っぱを貼ったり 柿を貼ったり  柿の中にあったタネを貼った子もいます
みんなが貼りおわると お部屋の床に さっきよりりっぱな柿の木ができあがっていました
また みんなで 取りにいこうね
お餅は おなかがポンポコリン
二学期ももうすぐおわり
クリスマスやお餅月大会と 園では行事が盛りだくさんです
ジョアン君は園でのクリスマス会は初めてです  サンタさんはどこかなぁと みんなで探しに行くと どこにもいません
お部屋にもどって席に着くと カーテンのうしろから サンタさんがあらわれました
??? でも ちょっとヘンです  サンタさんがめがねをかけてます  声も聞いたようなこえです
おともだちが ねぇねぇ園長先生に聞いてこようというと サンタさんがいま園にいるのは良い子のみんなとサンタさんだけだよぉと言いました
みんなはサンタさんが誰だかわかっちゃいました  ん〜 サンタさんは困り顔です
そこへヨーコ先生がケーキをもって めりーくりすます といって入ってきました
もう みんなサンタさんのことは 忘れています おいしそうなケーキに突進です
いただきまぁす  おいしいケーキはふわふわでいちごやクリームがいっぱいついてます
ごちそうさまのあとにクリスマスの歌をうたいました  いつの間にか サンタさんはいなくなっていました

クリスマスがおわると年長さんがお米をといで園でお餅つきをします ぺったんこ ぺったんこ 先生たちが臼と杵でお米をつぶしていくと段々真っ白なお餅ができあがっていきます  年長さんも年中さんも大喜び  ジョアン君は初めてのお餅つきにおっかなびっくりでしたが 白い粉をつけてまるめる作業は粘土遊びよりもむずかしく 真剣に先生のやり方を見ながら 小さなお手手で一生懸命まるめました
つきたてのお餅はとってもフワフワで ジョアン君はお餅が大好きになりました
きなこもちや だいこんもち あんこもち  いつのまにかお腹はポンポコリンです

三学期始業式  うわばき袋とお着替え袋を手に持ち、今年はじめての登園です
うわばきは真っ白 いつも裸足で遊んでいるので  小学生のお姉ちゃんの上履きとちがいます
門の前では園長先生がいつものようにみんなを笑顔で迎えています
久々の幼稚園にジョアン君はは少し緊張ぎみ   はずかしそうに園に入っていくとジョアン君のほおを両手で包むようにしながら、「おはよう!」と園長先生が抱きしめてくれました
以前にアトピー治療で長く入院して、久々に登園した朝も、「元気に来れて良かったね」とほおを包みこみ抱きしめてくれたときジョアン君はうれしそうにウンと大きくお返事して先生にギュ〜って抱きつきました  今日もとっても嬉しい朝です
始業式の日は午前中だけなので先生たちと一緒にみんなで大根畑にいきました
「さぁ大根たくさんとってね!大根を切ってお味噌つけて食べるとおいしいんだよぉ」
土の中に入っていた大根を生で食べるのは初めてです   バリッ バリバリッ おいしぃ〜
大きなお皿に山盛りになっていた大根はあっという間にみんなのお腹に入りました 明日はお味噌汁でお餅をたべます

お家に帰るとママが聞きました  園長先生といっぱい遊べた?今日はどんなお話を聞いたの?
ジョアン君は園長先生からきいたお話をママにしました
大きなトラさんにみんなが乗っかって ときどきトラさんのひげをひっぱりながら トラさんに合図をおくるの
そしてね 止まってくださぁい ゆっくり歩いてくださぁい 走ってくださぁい  トラさんが乗りまぁす
でも・・・・・ なんかへんです
トラバスにトラさんは乗っていません  乗っているのは園長先生と他の大人のひとたちです
ママはジョアン君のお顔をじっと見ました
ジョアン君は ヘヘェといたずらっぽく笑いながら さっき先生から聞いたとおりにお話をしました
「園長先生がね トラバスに乗ったんだって。トラが近くにきたからね大丈夫ですか?と聞いたらね かたいから大丈夫ですよって言ったんだって!!」ジョアン君がびっくりしたような顔で目を大きくして話しました
ママもびっくりです  そしてジョアン君がお話ししてくれたトラバスが本当にあったらいいなぁと思いました

もうすぐ 3月です 年長さんになったり卒園があったり 園の行事はまたまた忙しくなりそうです
我が家のやんちゃ坊主が日に日にたくましくなっていく姿は 親として最高に幸せを感じます
ふうせんのおてがみ
ペタ ペタ ペタ  今日もジョアン君はたのしそうに大好きな森を歩いています
かぶとむしさんのいた大きな木や やぎさんのいる草がいっぱい生えた広場
高いおそらから葉っぱのあいだをとおってお日様がジョアン君を照らしています
キラキラととてもきれいです
うわぁ〜と空を見上げているとふうせんがフワっと飛んでいるのを見つけました
「あっ ふうせん」ジョアン君がそういうと むこうのほうから園長先生がジョアン君を呼びました
歩いていくとそこは地面の土が少しずつ山のようになっているところがたくさんあります
園長先生 なにしてるの?
いまね うさぎのミミちゃんがずっとお寝んねするお家を作っているんだよ
ミミちゃんはもう起きてこないからこうしてミミちゃんがここに居ますよって名前を書いておくとみんながミミちゃんのお家ってわかるからね

ミミちゃんは腫瘍ができる病気になって何度も手術し入退院をしましたがとうとう手術もできなくなりました
そのときこどもには世話もできなくなったので、入院して死を待つ方がよいかと話し合いがありましたが こどもたちはなにもできなくても自分たちで見守りたいと答えました
何もできない・・・子どもたちは静かな優しい声でミミちゃんに何度も歌を歌ってあげました
ピクピク お返事をするようにミミちゃんがおおきなミミを少し動かします
女の子がちいさなお手手でミミちゃんをなでてあげました
心臓がトクトクとつたわってきてあったかです  ミミちゃん ミミちゃん 小さい声で語りかけるとミミちゃんがお口を動かして笑いました
そして ミミちゃんはおめめをあかなくなりました  ヨーコ先生は みんなミミちゃんお寝んねしたからそっとしておいてあげようね そういってタオルをかけてあげました

ここには山羊のおばあちゃんのお家もあります  お空に旅立った動物たちのお家です
こどもたちが世話をした動物たちはいのちを閉じるとみんなこの丘にお家をつくります
園長先生 ふうせんが飛んでるよ ジョアンくんが指差しながらお空をみると もうふうせんはいませんでした
先生は言いました  あのふうせんはね先生がミミちゃんにお手紙を書いてお空のかみさまに送ったんですよ
高ーく高ーくふうせんがお空に飛んで お空のかみさまがそれをうけとってくれたんです
ミミちゃんはずっとお寝んねしたままでしょ  だから かみさまは ミミちゃんの夢の中にいって そのおてがみを読んでくれるんです
先生もジョアン君もしんちゃんも みーんなミミちゃんが大好きだよって ネ
こどもたちには 動物たちとふれあう中で いのちというものを感じてほしいと園長先生は言っています
わたしたちが段々とおじいちゃんおばあちゃんと一緒に生活ができなくなっている現代は身近なひとのいのちの存在を理解しづらくなっています   さっきまでお話してたのに もうお話できないことの意味を動物と接することによって 居なくなってしまうことを感じてほしいということです
確かにバーチャルの世界が小さな機械の箱の中から画面に映し出されることが当たり前になってしまっている生活の環境は わたしたちがいちばん受け止めなければいけないいのちの重みをこどもたちに教えることはむずかしい現実です

先生 こんど ボクも ミミちゃんにおてがみ書くぅ 山羊のおばあちゃんと セミさんとちょうちょさんと・・・ いっぱい書いてかみさまみんなに読んでくれるかなぁ
園長先生は 目をほそめてやさしくジョアンくんの頭をなでながら言いました
読んでくれるよ かみさまは 山羊のおばあちゃんやみんなが淋しがらないように いつも みんなの夢の中に遊びにいってるんだよ
だから みんなもぜんぜん淋しくないんだよ
いまごろは かみさまがみんなを連れてミミちゃんの夢のなかに遊びにいってるかもしれないねぇ
園長先生とお空を見上げると大きな木の葉っぱの間からキラキラまぶしいお日様は
かみさまが ミミちゃんのところに こんにちはぁ と遊びにきているように地面にふりそそがれているようでした
あたらしいおしごと
ジョアン君はことしから年長さんになりました
年長さんのおしごとはたくさんあります  新しく園に入ってきた年下の子のお世話や畑や動物たちのお当番・・・
その中に門当番があります  胸には☆のたくさんついた勲章のような当番バッチをつけます
バッチをつけたお当番は年少、年中さんには憧れのお仕事です
朝 15人の年長さんが台に座り「おっはーよう♪おっはーよう♪」  と かけ声と共に手拍子をして登園してくる子とタッチしたり、迷っている子をクラスに連れて行ったり、連絡帳を先生に届けたりのお仕事をします
今日はジョアン君のはじめての門当番の日です
ジョアン君はちょっぴりソワソワしています  お鼻もモゾモゾしてきました
鼻の穴をボリボリ  ボリボリボリ   またまたボリボリ   しばらくすると 「おかぁさぁ〜〜〜ん」
泣き出しそうな声でおかあさんを呼びます
「どうしたのぉ?」 おかあさんがジョアン君のお顔をのぞきこむと  鼻血です!!
あらあらあらぁ おかあさんはいそいでジョアンのお鼻をふきました
鼻血とまるかなぁ  このままでは初めての門当番におくれてしまいそうです
おかあさんは 心配しながら園までジョアン君をつれてきました
でも だいじょうぶ  鼻血は止まっていました   先生に連絡帳を渡してから 振り返って元気にバイバイと手をふると園のお友達のところへ走っていきました
あぁ〜 よかった おかあさんはもう安心です
年長さんには学年全体で話し合う年長集会もあります
子どもたちが集まって双子の山羊さんの引っ越しについてお話し合いです
山羊小屋は隣り合う二つに分かれていて バンビさん一頭の小屋と、こゆきママ&双子の山羊さんの小屋に分かれています
1歳になった双子の山羊さん達はますます元気にはね回りいつも小屋の土はぐちゃぐちゃになってしまっています
やっぱり 3頭一緒では 狭いようだねぇ  園長先生が他の先生たちと相談して 年長集会で相談してもらおうということになりました
ヨーコ先生が みんなに聞きました   山羊さんたちのおうち どうしてあげるのがいいかなぁ
「バンビさんのいる小屋を子供部屋にしてあげれば?」
「こゆきママがこども達がいなくなったって心配するよ?」
「バンビさんの小屋に双子の山羊さんが住んだら、みんながバンビさんをわすれちゃうよぉ」
みんな真剣におはなしあいをしています
園長先生は子どもたちを見てニコニコ笑っています
話し合いの結果、誕生日のお祝いに双子の山羊さんたちに子ども部屋をあげることになりました
おたんじょうびおめでとう みんなで山羊さんたちにおめでとうをいうとこやぎたちはピョンピョンとびはねてとってもうれしそうです
ジョアン君は新しいお仕事でちゃぼのおせわをすることになりました
森からバケツに土を入れて運んできたり、ゆで卵を包丁を使ってきざんでご飯をつくってあげたりもします
小屋のうんち掃除もあります
畑のお仕事をするときも 動物さんのお仕事をするときも お当番バッチがあります
胸にバッチをつけて みんないっしょうけんめいです
先生 ちゃぼさんのお世話おわりましたぁ  元気な声でジョアン君がヨーコ先生のところにきました
はぁ〜い ごくろうさまぁ  先生たちはジョアン君に声をかけてくれます
ジョアン君は やったぁー といわんばかりに誇らしげに教室へもどっていきました
仲良しのしんちゃんが こっちへきていっしょに遊ぼう と呼んでいます
ジョアン君はお顔をニコニコしながら 走っていきました
お泊り合宿
今日は朝から 雨が降っています  お空には重たそうに雲がひろがって
なかなか止みそうにありません
明日はジョアン君たちのお泊り合宿の日です
子どもたちが園で自分たちだけで生活をする日です
合宿前に園長先生たちからお父さんお母さんに説明会がひらかれました
「この合宿は子どもたちだけで生活をします  不安になる子や眠れない子、泣いてしまう子もいます  でもわたしたちが寝ないで子どもたちを見守っていますから安心してください」  園長先生が言いました
園の周りは森に囲まれているので 親がいないと子どもの心は不安になり  動物の声や風の音がとても怖くなる子もいます
歯ブラシをどこに置いたかわからなくなっっちゃったらどうしよう
となりのクラスで寝てたらどうしよう  ママがいないと眠れないよう  おねしょしちゃったらどうしよう
みんなお泊りにドキドキです するとヨーコ先生が子どもたちが安心するように言いました
「おねしょはね 先生がおねしょしなくなる魔法のミルクをつくってあげるから それを飲めば魔法がきいてきておねしょしないんだよ  それから眠れないときはね 先生がママのかわりにトントンしてそばにずっと居るからね」
それをきいてジョアン君たちはヨーコ先生といっしょにいられるので みんなうれしそうにニコニコしました
「ハーイ では これから合宿の係りをきめまぁす」 園長先生がみんなにむかっていいました
クラスごとに係りの分担を決めて ジョアン君のけやき組はごはん係 いちょう組はレストラン係 ポプラ組はカレー係 すぎ組はキャンプファイヤー係になりました
ごはん係は先生からおいしい銀しゃりの話を聞いて 銀しゃりづくりにドキドキ!!
「つやつやのおいしいご飯のことを銀しゃりって言うのよ 白い水がきれいになるまでお米を洗うとできるんだよ」
合宿の前にみんなで一度作ってみようか  ヨーコ先生が言うとジョアン君たちは元気に手をあげて「ハァ〜イ!!」とお返事しました
クラスみんなでお店ににお米を買いに行きました  お店にはおっきな米袋がいっぱいあります
先生 ボクが持つぅ  しんちゃんがジョアン君に一緒に持とうといいました
ウン  ふたりは重い米袋をヨイショ ヨイショ と落とさないように一生懸命です  すると他のおともだちも今度は私が持つとかわるがわるみんなで米袋を大事に持って園まで運びました
お米をといで お水がきれいになるまで洗って 銀しゃりづくりは大成功です
ふっくらとツヤツヤしたご飯にみんな大満足  おいしそうなご飯の湯気が部屋中に立ち込めました
みんな 上手にできたねぇ 合宿のときはカレーライスで食べるんだよぉ 楽しみだネェ
園長先生に褒めてもらって みんな うれしそうです
じゃあみなさん 明日元気に来てくださいねぇ 待ってますヨォ  先生にサヨナラをしてみんなお迎えにきたお母さんたちと帰っていきました
お母さん ボク上手に銀シャリできたよぉ 明日はカレーを作って食べるんだヨォ
ジョアン君は今日のおいしいご飯が出来たことを お顔いっぱいの笑顔でお母さんにお話しました
お母さんはおっきな米袋を一生懸命運んでいるジョアンんたちの姿を想像しながら えらかったネェと褒めてくれました
いよいよ 合宿のお泊りの朝が来ました
子どもたちは自分の寝る布団を大きなふろしきに包んで登園です
園長先生がお母さんたちにお布団は必ず子どもに持たせてください 大人が手伝ってはダメですよといっていたので おかあさんたちは子どもが転ぶんじゃないかとヒヤヒヤしながら見送りました
園につくと さあ これからカレー作りです
2〜3人ずつ大きなざるを運びお米を入れて丁寧にとぎました  おいしい銀しゃりができました
できたご飯を計量カップのような容器にいれてひっくり返して一つずつパッカンとお皿にのせました
そこにカレー係がカレーをかけます
カレー係がたくさんの野菜を切るのは大変なので内緒でお手伝いのお母さん達が見つからないようにお手伝いしていました
じゃがいもは年中の時に合宿用にと畑に植えてつくったものです
レストラン係は机の上に花を飾ったりテーブルクロスを用意したり 三クラス分合わせた大きな教室が広々した素敵なレストランに大変身です
いい匂いのカレーがみんなの席に運ばれると ジョアン君たちはヨーコ先生のほうをみています
「いただきまぁ〜す」 ヨーコ先生がいうと ジョアン君たちもいただきますをしてカレーをひとくちパクリ
うわぁ〜 みんなで作ったレストランのカレーはおいしくっておいしくって ジョアン君は3回もおかわりをしました
大きなお鍋いっぱいのカレーはあっという間にからっぽになりました
これからお昼寝をしたあと 夜はキャンプファイヤーがまっています
お腹が満腹なのと 夜のキャンプファイヤーのことで 最初はなかなかお昼寝できなかった子どもたちはいつの間にかスヤスヤと寝息をたてていました
どんな楽しい夢をみているのでしょうネ・・・
たるのお風呂とキャンプファイヤー
おっきいぃ〜〜 見たこともないような大きなバケツのようなたる風呂
それでもこどもが二人も入るとぎゅうぎゅう詰めですがジョアン君たちには楽しいようです。
早く順番がまわってこないかなぁ まちどおしくてしかたありません。
いよいよジョアン君たちがお風呂の番になるとお空から雨が降ってきました。教室の反対側にあるお風呂に行くには園庭を突っ切って行かなくてはなりません。

あれぇ〜お風呂に入れないかなぁ?・・・心配するジョアン君の前に大きなブルーシートが登場しました。先生達が端と端を持ってブルーシートのおおきな屋根です。みんなその下に入りました。
みんなぁ出発進行!!ヨーコ先生がごうれいをかけてブルーシートの屋根の電車に乗って、お風呂へ出発です。

ジョアン君はなかよしのたー君と一緒です。ワイワイ キャッキャ お風呂から出るとヨーコせんせいのところに走っていきました。「あのねお風呂の中でおしりとおしりがぶつかったんだよ!おしりとおしりがチュッチュしちゃった!!」たのしそうに笑う顔にせんせいもニコニコしています。

夜になるとキャンプファイヤー係がまきを運びました。火をつけるとしばらくしてパチパチと火の粉がお星様よりも明るくお空に飛んで行きます。
「木を火の中に入れたら火がぼーって!!!」ジョアン君はびっくりしながらもワクワクして園長先生のところにかけよりました。キャンプファイヤーの火はどんどん大きくなっていきます。
園長先生が みんなでお歌をうたおうかと立ち上がるとまたまた雨が降ってきました。
あぁザンネン キャンプファイヤーはこれでおわりです。
雨の降りが激しくなってきたので、夜の散歩もできません。みんなで教室にもどりお外をながめていると「ハァーイ みんな集まってぇ」ヨーコ先生の声にふりむくとそこには大きな白い布がありました。お外は雨だからみんなで映画みようね 子供たちはビックリです 夜映画を見るのはまるでおとぎの国にいるみたいでふしぎなかんじがします。
段々と教室のあかりが消されていき 三教室合わせた広ーい上映会  みんなで映画を二本見ました。
さて映画で盛り上がったところで、そろそろ寝る時間です。はみがきして、パジャマに着替えて、お布団を敷くと、先生が絵本を読んでくれました。
寝れなかったらどうしよう???・・不安で不安でしょうがなかったたーくんとなつくんは絵本を読んでもらうといつのまにかすーっと寝てしまいました。そのあとジョアン君も先生にトントンしてもらいながら安心してねむりました。

朝です 森の葉っぱは夜の雨でキラキラしています。みんなでおいしい空気をおなかいっぱいすって散歩をしながらクラスで飼っていたカブトムシやクワガタを森に放しました。園に戻ると、おいしいパンに手作りジャム、畑でとれた野菜のサラダがテーブルにならんでいます。朝のお散歩でジョアン君もおなかペコペコ いただきまぁーす みんなで食べる朝ごはんはすぐにこどもたちのお腹にはいっていきました。

ワクワクドキドキの合宿もとうとうおわりです。おかあさんたちが子供たちを迎えにきました。
するといたずらっぽく園長先生が言いました。「こども達が寝たふりしてますから、気づかないでくださいね」おかあさんたちがそーっと教室に入っていくと布団に潜って寝たふりしている子、友だちとふざけている子がいます。
おかあさんと布団を風呂敷に包み、手荷物をもつと解散になりました。行きは頑張ったジョアン君もたー君もなつくんも帰りはまだまだ遊びたくてしかたがないようです。荷物はお母さんたちがもちました。
「こども達は緊張と興奮で、すごい元気そうでも疲れていますので、ゆっくり休ませてあげてね!!まだ早いからと遊びに連れて行ったりは絶対にしないでください」
園長先生の言葉はジョアン君たちには関係ないかな  たー君たちとわかれてお家につくと いつのまにかジョアン君は寝てしまいました。  おかあさんはやさしい手でジョアン君の頭をなでながら きっと夢の中で合宿のつづきをしてるんだろうなと思いました。
運動会でよーいどーん
「ボク リレーいやだ。はやくはしれないしー。ころんじゃったらどうしよう!!ってたー君もいってたし。」
ジョアン君たちの通っている園ではもうすぐ運動会があります。
仲良しのたー君もジョアン君も鬼ごっこや遊びでたくさん走ることは大好きなのですが、競争で走るのは苦手です。たー君はおれリレーに出ないと毎日言ってママを心配させています。

みんなぁ 魔法のおさかなさん食べようかぁ ヨーコ先生がおさかなのクッキーをもってきました。 「このおさかなを食べると昨日より早く走れるようになっちゃうよ」
ジョアン君たちはお目目をまんまるにしておさかなクッキーをたべました。
さっそくたー君がお庭に出て走り出しました。なんだか早くなってるように見えます。みんなもたー君といっしょに走り出しました。早い早い!! 
遠くから見ていた園長先生が拍手しています。
ヨーコ先生のクッキーは本当に魔法のクッキーです みんなはおさかなクッキーを食べて今日も早くなった 今日も早いねぇと毎日リレーの練習をするようになりました。

乾燥した時期に入り園庭では、練習でリレー用の白線の粉が、砂埃とまざって舞い上るようになりました。
喘息のあるジョアン君の体調もすぐれず、咳が出るようになってきました。
ゴホっ ゴホっ  咳をするたびに小さな身体全身が動きます。
園長先生は 無理をしないようにとやさしくおかあさんにいいました。 こどもの身体は小さいですから大人の感覚で判断をしないようにしてあげてくださいね。
ジョアン君は運動会まで少しお休みすることになりました。 たー君ともしばらく遊べません。
運動会当日になると、ジョアン君はおかあさんにいいました。「おかあさん ボク運動会行くぅ」 咳もおさまっています、熱もありません おかあさんはジョアン君を運動会に連れて行くことにしました。連絡をうけていた園長先生が園の入り口でジョアン君を待っていてくれました。 
「園長せんせーい おはようございまぁす!!」 いつものように嬉しそうに園長先生にとびつきました。

運動会ではみんなの踊りがおわって これからリレーがはじまるところです。
4クラスなので4人ずつが走ります。一クラスは30名です。ジョアン君もクラスの順番に並びました。
ドキドキ・・ 最初に走るお友達の姿をじっと見ました。
よーいどーん!!園長先生のピストルでリレーがスタートしました。園長先生はすぐに走っている子の応援をしています。
おともだちが次々に走って12番目たー君の番になりました。
たー君がんばれぇー クラスのみんなやおとうさんおかあさんたちが一生懸命応援しています。
たー君は頑張って走って次のおともだちにもうすぐタッチです  あっ!!
たー君は転んでしまいました。 みんなはたー君が泣いちゃうんじゃないかと思いました。でもたー君は泣きません。 すぐに立ち上がるとまた頑張って走りました。 そしてつぎのおともだちにタッチ  みんなたー君によって来ました。怒る子はだれもいません。みんな笑顔です。

「今年のリレーではどんなドラマがあるか楽しみです。はやいおそいじゃなくて、最後まで一生懸命が良いんだよ!をこども達に教えていきたいです。最初からそうは思えないから・・おまえが遅いからだぞと言っちゃう子がいたら・・じゃあ、一生懸命走ってないの?・・・違うと言ったら・・じゃあどうしたら良い??・・そういう風に相談していきたいです。」
園長先生がお話してたことはちゃんと子ども達が学んでいました。

さていよいよジョアン君の番です。やっぱり不安なおかあさんは一番前で応援しながらジョアン君は転んじゃったら泣くかナァ だいじょぶかなぁとドキドキです。ジョアン君も少し不安げにおかあさんを見ました。
タッチー!! おともだちからタッチがくるとすぐにジョアン君はビュンビュンと走りだしました。転ぶことなんて怖がってません。どんどんどんどん走ります タッチー あっという間に走り終えて次のおともだちが走っていきました。
最後に走った子はニコニコとおかあさんに手を振りながら走っていたので、ちょっとだけゆっくりになりました。ゴール。 4クラス全部がゴールしました。ジョアン君たちはおかあさんたちと先生たちの拍手に包まれながら退場しました。 みんなほこらしげです ニコニコする子もいます 胸をはって行進する子もいます。

ジョアンの通っている保育園では卒園者の競技があります。地域のひとが保育園との関係をいつまでも続けていけるように卒園してからもいつでも園に来てくださいと園長先生がすすめていることでした。
毎年参加が一番多いのは、去年の卒園生の小学校一年生です。
高学年になると参加者はだんだん少なくなっていきますが、大学生の卒園者のひと〜と呼ばれて手を挙げた一人には会場から大きな拍手がおきました。ヒーローのような扱いに、おにいさんは照れていました。
それ以上のひと〜と呼ばれたときは副園長先生(園長先生の娘さん)がいました。
また大きな拍手がおきました。
在園児のお母さん二人も何十年か前の卒園生です。お母さん達〜に会場がどっとわいて拍手がおきました。
今年の競技はムカデ競争、みんなおおはりきりです。

最後はおとうさんと一緒の帽子とり競争です。
ジョアン君はお父さんに肩車してもらいました。 おとうさんはとっても背が高いので大きなおやまのてっぺんにいるみたいにまわりがよく見えました。
競争がはじまると、おとうさんはドドド〜っと他のお父さんの後ろにまわりジョアン君の手が帽子に届くところまで走りよりました。でもジョアン君は手をのばしません。
だって あの子の帽子がなくなったら もう競争できなくなるよ
おとうさんはちょっとこまってしまいました それでは競争になりません
けれど またドドド〜っとあっちに こっちに走りました。おとうさんが走るとジョアン君は肩のうえでピョンピョン弾んでとてもたのしくなりました。
バーン!! 競技の終わりの合図です。ジョアン君は下に落ちていた帽子を拾って先生のところにいきました。
ジョアン君のひろった帽子もクラスの点数になりました。
園長先生がクラスの点数を発表して運動会はおわりです。
わーい みんなほっぺいっぱいの笑顔でおとうさんおかあさんと帰っていきました。
「リレーおもしろかったぁ また走りたいナァ」 ジョアン君はたー君と競争しながら楽しそうにかえっていきました。
みんなで登ろ!! わしたかやま
おはようのお手手がちょっと冷たい季節になりました
ジョアン君は今日も元気に園長先生とハイタッチをして登園です
ヨーコ先生はいよいよ園生活最大の難関・・年長はわしたか山遠足にむけての修行が始まりました

わしたか山の遠足は、小学3〜4年生向けと言われています。公園に遠足に行ったときは、同じルートを徒歩で小学二年生が来ていました。幼稚園の遠足はかーなーりハードです
園では修行だから特別にすべり台の逆のぼりをしました。うんていをしました
ジョアン君には、ずっとできなかったうんていの一本抜かしぶら下がりが、リレーで自信がついたとたんにできるようになってました
タイヤの上を飛ぶ練習、ついでに木登り。。。
そして、歩いて20分の所にある公園にも二クラスずつ修行に行きました
アスレチック、坂のぼりおり、長ーい階段・・
修行を終えると手の甲にとんぼやカブトムシのスタンプを押してもらいます
園から帰った年長さんたちは「修行して押してもらったんだよ!」と誇らしげにママ達に見せてます
ジョアン君も「修行してかぶとむし〜おしてもらった!つかれたよ〜でもしゅぎょうはかんたん!かんたん!」と言って楽しそうに笑ってます
運動会すぐあとだっとので遠足までの準備期間が三週間程度で足りるのかな?もっと何度も遠くまで歩く練習しないのかな?とお母さんは思っていました
でもジョアン君たちは元気です
季節もだんだんと寒くなってきました。遠足行けなくならないようにママ達は体調管理に慎重に気を配ります
「わしたか山ってどんなところ??」
「お楽しみがいっぱいあったよ!!」と
年長組の先生はみんなで下見してきた様子を話しながら動物がいっぱいたことやお空がとってもきれいだったことをお話してくれました
さて今年もジョアン君たちがわしたか山に登ることになりました
たくさんの修行をし、♪わしたかやまはふしぎがいっぱい〜♪というやまの歌を歌って、どきどきわくわく遠足を楽しみにしています
そして・・当日!!みんなの思いが届き・・素晴らしい秋晴れに☆☆
さわがに発見!!赤、茶、白・見たことないようなカニがいます
なんじゃもんじゃの木(推定430歳)があります    切り株に入る・・・と木の中ってあったか〜い
でこぼこ岩場を下って  こわいなぁ〜がんばれ〜  ヨーコ先生や園長先生が声を掛けて励ましながら次はすべる足場の悪いのぼり坂です  すべるから気をつけて!手と足、おしりを使っても良いよ  みんなが通った道にはかわいい足跡とおしりの跡がいっぱいできました
わくわくドキドキの鎖場に到着・・鎖をつかんで登ります   手と足を使って最後まで気を抜かずに・・修行の成果の見せ所です!  登りきるとついて頂上に到着です!    やったあ!!!あ〜うみがみえる!!!
そしてお腹はぺこぺこ・・・みんなでおにぎりを食べているとタカが飛んできました  タカに大事なおにぎりとおやつをとられないように気をつけてね  ヨーコ先生が笑いながら言いました
ほんの少し遊んでから 帰り道の出発です
きれいないちょうの木のある公園でちょっぴり休憩をしていると  りす発見!!
帰り道は来たときとは違った道を歩きます  みんなで手をつないでおうたを歌いながら歩いてやっとママ達が待っている幼稚園に到着〜 疲れて電車の中で寝てしまったお友達も元気にママにかけよっていきました
遠足後の幼稚園では・・
「みんなで登れたね☆」「楽しかったね☆」「頑張ったね☆会です
とんがりわしたかやま(とんがりコーン)を食べて年長組みんなでパーティーをしました
ジョアン君やみんなは楽しかったことをからだいっぱいで表現してお話しました
最後にみんなで大きな紙にわしたかやまの思い出を絵に描きました
夢の中で ジョアン君はタカに乗って わしたかやまの上を飛んでいました
うんてい と コマまわし
ジョアン君が走って帰ってきました
お目目をまんまるにして 息をハァーハァーきらしてます
おかあさぁーん   元気で大きな声におかあさんはちょっぴりビックリしています
「きょうねぇー ヨーコ先生にむぎゅーってしてもらったの ちょっとくるしかったけど
やっと うんてい一段ぬかしできるようになったんだよ 年中のときはできなかったから 先生がジョアン君すごいねぇ!って言ってたよ」と照れてはにかみながら言いました
ジョアン君のお顔はニコニコです  おかあさんもうれしくなってきて一緒にニコニコしています
翌日 おかあさんはヨーコ先生に ジョアン君が照れながらも喜んでいたことをお話しました
ジョアン君のほっぺがコロコロと ころがっていくんじゃないかと思うくらいに嬉しそうだったこと お目目がくっついちゃうくらいに笑っていたことをお話しながら おかあさんも同じ顔をしていました
すると ヨーコ先生が周りに誰もいないことを確認してからおかあさんに小さな声で言いました
「ジョアン君ずーっとずーっと待ってたんですよ   最初は他のおともだちがうんていをしているとき 私がみんなに良くできたネェって言ってるのを見てたんです
そのあとおともだちや仲良しのター君がいなくなると ジョアン君が急に私の所に駆け寄ってきて 見ててねっていう笑顔をしてからうんていをはじめたんです   そしたら今までできなかった一段抜かしが上手にできたんですよ
やっているときは真剣そのものだったお顔が全部渡りきるとうれしそうに私のほうを見てくれて   それがかわいくて・・頑張ったねー すごいねぇーって誰も見てなかったから思いっきりむぎゅーってしちゃいました
おともだちがいると自分がほめてもらうの恥ずかしいから みんながいなくなるのを待っていたんですねぇ
ジョアン君 照れてたけれど とってもかわいい笑顔でわらってくれました  私も嬉しくなっちゃって」
うんていは苦手でした いくらやってもうまくできませんでした
それでもがんばって出来るようになって ヨーコ先生が褒めてくれたことがジョアン君は世界で一番うれしかったんです
先生のおはなしを聞いているうちに おかあさんは 自分がちいさかったころのことを思い出していました
そして ずっと苦手だった 鉄棒のさかあがりができたとき 先生に褒めてもらってやっぱり嬉しかったことをジョアン君にもお話してあげようと思いました
ある日のこと 園では年長さんだけが参加できる「コマ道場」に出るためみんな大張きりでコマ回しの練習をしていました
コマが上手になったら 「対決」で一番をきめます  コマは運動会で頑張ったご褒美にもらったものでした
コマにヒモを巻くのはけっこうむずかしくて 上手く巻けたコマはいつまでもクルクルクルクルまわっています
でも ジョアン君はなぜかこのコマまわしに参加していません
「コマまわしキライかなぁ・・・」 先生は ジョアン君を迎えにきたおかあさんに聞きました
園では子供に無理やり何かをさせることはけっしてしません  だからジョアン君がコマを持ってこなくても楽しそうに他の遊びをしていれば  そっとそのままにしています
それを聞いた おかあさんはくびをかしげてしまいました お家では コマのヒモの巻き方をきおとうさんに聞いて うまくできなかったけどふたりで楽しそうにコマ回しをしていたからです
先生も不思議に思いました   「ん・・・では おかあさんに聞いたときにさりげなく教えてあげてみてください 巻き方はココをこう持って こうしてぇ〜」
おかあさんは先生から巻き方を教えてもらうと ター君たちと遊んでいたジョアン君と一緒にお家にかえりました
お家に帰るとジョアン君はコマを持ってきて遊び始めましたが やっぱりうまくヒモが巻けません
おかあさんは さっき覚えた巻き方をジョアン君に教えたくて仕方ありませんでしたが 先生に「最初から全部おかあさんが巻いてしまわないようにしてください ジョアン君と一緒に考えながらちょっとずつヒントを出して子供が自分のちからで完成できるようにしてあげてください 子供は自分ではじめてできたときがいちばん嬉しい瞬間ですから」と言われていたので 気付かないフリをしていました
しばらくすると  おかあさーん 今日ター君がねこのコマのここを持って巻いてまわしたらスッゴイまわったんだよ でもボクうまくできないやぁ   とおかあさんのところにコマとヒモを持ってきました
おかあさんは先生に言われたとおりに  じゃぁここをこうしたらどうなるかなぁ と一緒に考えながらジョアン君にヒントを出していくと何回も何回も失敗しながら ついに完成することができました
やったぁー ボク明日先生に見せてくる  と嬉しそうにまた練習をはじめました
「おはようございまぁーす」 ジョアン君は今朝も元気よく園長先生にあさのご挨拶ができました
「おはよう」 園長先生はいつものようにジョアン君とハイタッチ    門のところでみんなと挨拶です
先生〜 コマまわったよぉ ヒモねぇうまくできたぁ
朝 おかあさんと一緒に園につくとコマを持ってダッシュでヨーコ先生のところにいきました
わぁ ジョアン君できたのぉ 先生に見せてくれる  ヨーコ先生に言われてジョアン君はちょっとはずかしがりながらコマにヒモを巻いてまわしました  クルクルクルクルよく回ります   クルクルクルクルまだとまりません
いつのまにか園長先生も側で見ていました   よく回るネェ  上手にできたねぇ  園長先生とヨーコ先生に褒められてジョアン君はとってもうれしそうな笑顔で教室に入っていきました
どうしていままでジョアン君は園にコマを持ってこなかったのかしら・・・
ヨーコ先生たちの「不思議」はすぐにわかりました
みんなと楽しそうにコマ回しをしていたジョアン君に コマ道場でオレと対決やろうと隣の組の男の子がいいました
ジョアン君は  首を横にブンブンとふって ボクやらないよ と言いました
先生は ジョアン君コマ回し上手になったから対決できるよと言うと  ボク対決しない  対決キライだもん といってまたみんなと一緒に遊び始めました
ジョアン君はコマ回しがキライだったのではなかったのです
楽しいコマ遊びで 対決 をするのがイヤだったのです
園長先生がヨーコ先生に言いました
子供たちはそれぞれの個性で「楽しい」を見つけていきます  コマ道場での対決はおもしろいですが それがいいとか悪いという判断は大人が押し付けないように気をつけて子供たちを育てていきましょう
男の子は オレも一緒にやる といってコマ回しに加わりました
ジョアン君たちは クルクルまわる コマを いっしょうけんめい 「研究」しながら みんなでたのしく遊びました
ダイチもお空へ・・・
双子のやぎさん  かわいいヤギさん
ピョウンピョンはねて元気いっぱい かわいいね元気だね
白い子ヤギのなまえは ゲンキ 黒い子ヤギのなまえはダイチ

こゆきママのふたごの子供はヤギさんのお家が小さいのでママの小屋のとなりに新しい小屋を作ってもらうことになりました
ジョアン君は園長先生といっしょに今日は草取りです
ター君も一緒です  草をひっこぬいたときに手を切ってしまう子がいたので こどもたちは手袋をして葉っぱをひっこぬいています
うんしょ う〜〜〜んしょぅ〜 一生懸命
前の日に雨が降ったので 葉っぱはおもしろいようにぬけます
でも なかには 大きな根っこをおもいっきりひっぱって しりもちをついてしまう子もいます
デデーンっ うわぁ お尻はどろんこ おててもどろんこ 「痛〜 冷た〜い」
ヨーコ先生のところにいって着替えてきなさい  園長先生はニコッと笑ってどろだらけのおしりをポンとたたき それいけぇと 楽しそうに声をかけました
いまにも泣き出しそうだった子は その声にキャッキャッと笑いながら走り出しました
「あぁ〜 オレのおしりも冷たい〜」 ター君です
見ると しゃがんで草取りしてたのでズボンにどろがついていました
「あぁ〜 オレもぉ  ・・・ わぁ〜 アタシもぉ・・・」
「みんなごくろうさん たくさん葉っぱとれたねぇ みんながんばったから こんなにきれいになったよ ありがとう」 園長先生に褒められて みんなはうれしくなってニコニコしています
おやつの時間のまえに着替えて手を洗いましょう 一緒に草取りしていた先生が声をかけると みんな水場のほうに走っていきました

お天気がつづいて 土もすっかりかわいたのでいよいよ小屋を建てる準備です
こやぎたちは今日も元気に飛び跳ねています
園長先生はあたまにタオルではちまきをすると 納屋からおおきなトンカチとクギをもってきました
副園長先生もおてつだいです  材木をもって 小屋の場所まで運びます
ほとんどを運び終わって 園長先生と副園長先生はお部屋に戻りました 園長先生の机の上にお手紙があります
隣町の幼稚園からでした
「ボクたちが飼っていたヤギさんが死んでしまいました 大切に育てますから一頭ください」と書いてあります
園長先生は 子どもたちがいっしょうけんめいに育てている双子の子ヤギを大人だけで判断するわけにはいかないなと考えて 次の日 年長さんのみんなを集めてお話会をしました
突然のことに みんなビックリです  イヤだぁと泣き出してしまう子もいます
「先生 一頭あげちゃったら もう一頭が淋しがって死んじゃうよ こゆきママもかわいそうだよ」
「やぎさんあげたら こんどほかの動物が死んだときまた欲しいって言ってくるよ」
子供たちは真剣です  園長先生は隣町の幼稚園に子どもたちの気持ちを伝えるため手紙を書きました
お返事がくるとみんなに読んで聞かせました  何回もお手紙をやりとりして 子供たちの気持ちは「死んじゃったヤギが白いヤギさんだから 白い子ヤギのゲンキをあげよう」とみんなできめました
お別れ会にゲンキの絵を描きました おうたも歌いました そして花束のかわりに草束をあげました
翌日、バスが一台プップと音を鳴らして入ってきました  バスの中には隣町の幼稚園のおともだち5人と園長先生が乗っています  「みなさん ゲンキくん 大切に育てますからね ありがとう」 ゲンキはバスに乗って園を出て行きました
「バイバ〜イ 元気でネェ バイバ〜イ」 みんなはバスが見えなくなるまで手をふってゲンキを見送りました
新しいお家を建てる場所はこゆきママのお家を広くして黒い子ヤギのダイチが元気に遊びまわれるようにしました

冬休みに入る少し前 「ダイチが寝ててね 具合悪いんだって」 ジョアン君が心配そうにおかあさんに言いました
生まれて1年ちょっとのダイチは体の中に腫瘍がたくさんできる病気にかかってしまったのです
そして みんなが冬休みの間に ダイチはお空にのぼっていきました
園長先生はダイチをあたたかな毛布にくるむと やさしくなでてあげました
「ダイチ また生まれておいで・・・」   園長先生はダイチが淋しがらないようにうさぎのミミちゃんのとなりにお墓をつくりました
冬休みがおわり みんなはいつものように門のところで笑顔で迎えてくれる園長先生にハイタッチしながら元気に挨拶をして入ってきます 「先生 おっはよぉ 寒いネェ」
教室にはいって荷物をおくと みんなはダイチのお墓にいきました  お家からお花を持ってきた子もいます
「こゆきママ ひとりぼっちで かわいそう」  子供がいなくなった母ヤギが心配でたまりません
みんなでこゆきママが淋しがらないように遊びにこようね ヨーコ先生はみんなに声をかけたあと子供たちと教室にもどりました
「いきものは みんないのちがあるんだよ いのちは 生まれてくるときは うれしいけど 死んでしまうと もう会えなくなるの さびしいね でもね みんながちゃんと覚えててあげようね そして 生きている動物さんたちを大切に育ててあげようね」 ジョアン君たちはジッとヨーコ先生のお話をしずかに聞きました

「ねぇ おかあさん お花の種を買って」 ジョアン君がおかあさんにいいました
おかあさんが 「お花そだてるの?」 と聞くと  「うん お花咲いたらねダイチにもっていくの」
お花やさんのは切ってあるからもう死んじゃってるでしょ だから自分で育ててあげるの
子供の発想は素直です お花を育てることで またひとつ いのちの大切さを自然とまなんでいきます
おかあさんはジョアンくんと種を買いにいきました
もくじ
森の中のおじいさん
悪い子ってどんな子
子どもは先生
栗ひろいとおいしいケーキ
お餅はおなかが・・・
風船のおてがみ
あたらしいお仕事
お泊り合宿
たるのお風呂とキャンプ・・・
運動会でよーいドン
みんなで登ろ わしたか山
うんていとコマまわし
ダイチもそらへ
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